アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「会社を継いで欲しいと…」
「うん」
「俺に頭を下げてきた」
伸也さんは苦しそうな声で話す。
「俺を捨てた男が俺に頭を下げたんだ」
「うん」
「考えさせてくれと言ったけど、俺の心はその時に決まっていた」
「うん」
「俺は…自分を捨てた母親も俺より新しい家族を選んだ父親も憎んでいた。この手で殺してやりたいほどに…」
「わかる」
わかるよ。
私もそう思った時期はあったから。