アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「えぇ!猛の彼女?」
金髪でフックリとした女の子が、猛の腕にしがみついた。
「違う」
猛は冷たくそう言うと、その子の手を振りほどく。
「その子か?」
今度は同じく金髪の男が、猛に話しかけた。
大きな目に筋の通った綺麗な鼻。
金髪のせいかまるで外人みたいな顔の男。
「あぁ」
「初めまして。伸也さんから聞いてる。ゆっくりしていって」
金髪男の手は私の前に差し出されているけど、どうすればいいのかわからない。
握手を求めているのだろうけど、私はその手に触れたくない。
「う、うん」
取り敢えず、返事だけはしておこう。
そんな私の気持ちを察したのか、男はスッと手を下げ、自己紹介を始めた。
「俺は、こたぁって呼ばれてる。それで、そこのデブがカズ」
「デブって言わないで。今ダイエット中なんだから」
スナック菓子の袋を片手にさっきの金髪の女の子が膨れてる。
「で、そこで寝てるのが翔」
そう言って指をさしたほうを見ると、緑頭の男がソファでいびきをかきながら寝ていた。
さっきまであんな大音量だったのによく寝てられるな。