アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「私…私に始めて愛を教えてくれたのが伸也さんでした。仲間をくれたのも伸也さん…喜びや幸せをくれたのも伸也さん…伸也さんに出会わなければ私は生きていなかった…今でも伸也さんが必要です。でも、私達は愛する家族のために別々の道を選んだ」
ママのすすり泣く声が聞こえる。
「私は別れる前から伸也さんがお見合いをしてしまう事を知っていました。だから、今日私もお見合いをすることに決めたんです。そして、今日出会った人と結婚すると決めていました。こういう出会いも運命だから」
「本当の意味での運命だったな」
伸也さんが私に微笑みかける。
見たくて見たくてたまらなかった大好きな微笑み。
「パパ、ママ、私…伸也さんと結婚したい。伸也さん以外考えられない」
ママ達が返事をする前に伸也さんは立ち上がり、私の頭にポンと手をのせた。
「泣き虫なのは相変わらずだな。会いたかった…」
そして私を強く抱きしめた。