アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「行くぞ」
伸也さんの言葉に腹が立つ。
私は貸し借りされるような“物”じゃない。
「おい。聞こえてんのか?」
あんたの“物”なんかじゃない。
「行くぞって」
「あんたのものじゃない」
「えっ?」
カズが驚いた声を出した。
「あぁ、悪い。そういう意味じゃねぇ」
「じゃあなに?」
「話があるから来てくれ」
「わかった。カズまたね」
「う、うん」
カズはポカーンと口を開けたまま、私たちを見送ってくれた。