アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
毎日、伸也さんの部屋で寝泊りしているのに、あの日以来伸也さんには会っていない。
カズが言うには、伸也さんは“shot”を任されているし、女がいるから忙しい。
私は未だにドリンクを飲み、眠れない日々。
体は日に日に痩せていって、もう自分の体を鏡で見ることすら吐き気がするようになった。
だから、伸也さんの家の鏡はすべて割った。
ふと目に入る自分の姿が汚らわしくて。
「今日は面白いものがみれるから行くよぉ!」
とカズに誘われて、眠らない街へやってきた、ある日……
目的地は“shot”の前の交差点。
もしかしたら、伸也さんに会えるかもしれないなんて期待していた。
道路で盛り上がっている沢山の人達を視界に入れながらも、私の瞳は確実に伸也さんを探していた。
「何してるの?」
道路脇に立っていた猛に聞いてみた。
「ゲームだよ。道路を渡って車にひかれなかった奴の勝ち!しかもなるべく、ギリギリでひかれなかったらいいっていうルール」
「ふーん」
道路は片道2斜線の中央分離帯がある大きな道路。
次はこたぁの番らしい。
引きつるこたぁの顔を見て、みんな一声に大爆笑。
こたぁは怖がりで、まだ車は遠くにいるのに道路を駆け抜けた。
「話にならねぇよ」
「腰抜け、こたぁ!」
「チキン野郎!」
沢山の野次がこたぁに飛ぶのに、こたぁもみんなも楽しそう。