アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
「伸也さんは女を、大事になんか出来ないから。俺にしときなよ。大事にするから」
「猛、手痛い。離して」
「亜美ちゃん、俺と付き合って」
「無理だって!」
猛のしつこさに、思わず口調が荒々しくなる。
「伸也さんのどこがいいんだよ!好きでもない女を抱けるんだぞ!」
怒鳴るような声と同時に、思い切り体重をかけられて、床の上に倒れた私。
その上に、猛は覆いかぶさりながら、「付き合ってくれ」と何度も呟いている。
「猛、やめて」
「俺が忘れさせてやるから。優しくするからいいだろ?」
暗くて猛の顔は見えないけど、怖い。
「やめて」
猛の手が、Tシャツの中に入りブラを外された。
やめて、やめて。
叫びたいのに、また声が出ない。
声は出なくても、恐怖でいうことのきかない体を動かし、必死に抵抗した。
すると、あの時みたいに……
あの日と同じように、頬に感じた違和感。
パーンっと何か弾けたような音の後に、じんわりと頬が熱くなる。
「遣られたんだから、俺にもやらせろよ」
猛の声なのかわからないくらい、低い声でそう言われた。