アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
でも、中からは物音一つしない。
「ここにいろ」
「うん」
靴を履いたまま、部屋の中に入っていく伸也さん。
私は落ちているブラジャーを拾い、抱きしめた。
「てめぇ、何やってる!!起きろ!」
ボコッだか、ドスッだか、色んな音が……
きっと、伸也さんが猛を殴る音。
「伸也さん!殴らないって」
伸也さんを止めようと慌てて部屋の中に入ると、猛じゃない猛が何度も何度も伸也さんに殴られていて、その周りにはピンクの錠剤が転がっていた。
「触るな!!」
ピンクの錠剤に手を伸ばすと、伸也さんに怒鳴られた。
「また手出したのか?いつからだ?」
「伸也さんもうやめて。猛が、猛、死んじゃう」
猛の顔は血まみれなのに、笑っているように見える。
「伸也さん」
こたぁが息を切らして部屋に来た。
「こたぁ、伸也さん止めて」
「あーなったら俺にも無理だ」
「伸也さん」