【原作】妖精なアイツ
染五郎さんは、
ため息をついて妖精の方を見た。



「俺…なんとなく気付いてたんだ」



染五郎さんがそう言うと妖精は「なにを?」と聞いた。



染五郎さんは躊躇いながらも、
妖精から目を逸らさず言う。




「お前……
規子の事が好きなんだろ?」



その瞬間、
妖精は固まってしまった。



染五郎さんは…知ってたんだ…。



「はじめは特に、
『あ、好きなのかな?』って思う程度で…

勘違いかもしれないとも思ったし、

お前何も言わないから気付かない振りしてたんだ。


でも、
この前の合宿の時…お前が本気で辛そうなのを見て、

『本気なんだ』
っていう気持ちと実感で…

俺、お前に本当に酷い事してた…って思ったんだ」



染五郎さんは、
本当に辛そうな顔をしていた。



妖精はただ、
何も言わずに真剣に話を聞いていた。
< 104 / 121 >

この作品をシェア

pagetop