【原作】妖精なアイツ
震えは止まっても、
顔は強ばっている。


それでも妖精は、保健室へ向かって歩いていく。







────ガラッ



保健室のドアを開けた。
何故か私も緊張している。



「美希!光太くん。
ひさしぶり~」



のり姉はニコッと笑い、座っていた椅子をこちらに向けた。



「特別にお茶出すから座って~。」



妖精は強ばった顔のまま、椅子に座った。



しばらくすると、
お茶が運ばれた。



妖精はそれを一口飲むと口を開いた。




「桜井先生…ゴリーチャーとイベント出るんだって?」


「うん…せやけど?」


「ブラザーと組まなくていいのかい?」



妖精がそう言うと、のり姉の顔つきが変わった。



「うん…
もう、ええねん」



のり姉の顔はとても悲しそうだった。



「『俺達の関係は保留にしよう』

って言われて…
私、嫌われたんかな……」



「それは……っ」


「ええねん、
大丈夫。気にせんといて」


「違う!
僕のせいなんだ!!」



妖精は、
決意を決めた。
< 107 / 121 >

この作品をシェア

pagetop