【原作】妖精なアイツ
一学期最後の日。



終業式が終わり、
通知表をもらい、
鞄を持って帰ろうとした。



「美ー希!」



聞きなれた声。
…のり姉だ。


正直、
気マズイかも…。



「あのね、
美希にお願いがあるんだけど!」



のり姉は両手を合わせて申し訳無さそうに言う。



「ん?何?」



「私が担当する空手部の夏合宿があるんだけど、
マネージャーがこの前辞めちゃって困ってんの。

美希、手伝ってくれない?」



空手部…
マネージャー…


何か疲れそうな響き。



「え~…」


「バイト料出す!」


「やる!」



そうだそうだ。
私は夏休みにするバイトを探していなかったんだ。



「じゃあ決まりね!
また電話するから!!」


そう言ってのり姉は走って職員室へと向かった。



「ふうん…
のり姉って空手部の顧問だったんだ」



「いや。
俺が空手部の顧問だ」



……ゴリーチャー…



「よろしくな!」


ゴリは私の肩をポン、と叩いた。


こんな汗くさいヤツと、
夏休みを過ごすと思うと、今から憂鬱になる。

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