【原作】妖精なアイツ
「アイツ…強いんやん」


「美希、気になるん?」



のり姉が私の顔を覗きこみ、
微笑んだ。



「いやっ…別に」


「照れんでええやん。
一緒に光太くん応援しよー」



その時私の体は固まった。



「え…染五郎さんはいいん?」


「いーのいーの」



のり姉はそう言って私の腕を引っ張り、
引き寄せた。



妖精は…
のり姉の事が好きなんだよ?



のり姉はその事…知らないの?

「光太くん頑張って!」


のり姉が叫ぶ。



すると、
妖精の動きが止まった。



次の瞬間、
染五郎さんが技を入て妖精は倒れ、




倒れる時、あたりがスローモーションの様だった。



妖精はその時、
口を動かしていた。



声は聞こえなかったが
私はこう言った様に感じた。






『 お も っ て も な い く せ に 』





――――“思っても無いくせに”





そう、


言った気がした。
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