【原作】妖精なアイツ
「ミッキーは…来ないか」



ボソリと呟き、
シャツに袖を通した。

学校までは、
いつもケインと登校する。


でも今日は…一人で歩きたい気分だった。





校門をくぐり、
中に入る。


誰もいる気配は無い。



ナオに電話をかけようと携帯を開くと未読メールが一件。



【言い忘れてたけど、
1時からだから

     ナオ】



なんだい
それは……。


『今すぐ』って言ってたのに…



また苦笑いを浮かべて校内に入った。
体育会系の部活はもちろん、文化部も活動しているので鍵は開いている。


時刻は十時。
一度家に戻るという考えは無く、
僕はある場所へ足を運んだ。


いつかの日に盗んだ鍵を、
ドアにはめこむと



ギイ…と音を出して開けた。



屋上。


僕の一番好きな場所。

―――ここで、
初めて…桜井先生と話したんだった。
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