【原作】妖精なアイツ
「きゃー!
やっぱ似合うー!!」


女子は妖精の衣装を着た僕を見てはしゃいだ。
正直かなり恥ずかしい。



鏡で自分の姿確認すると、
女みたいだ。



「こんなの桜井先生見たら笑うだろうな…」



一人の時にポツリと呟いた。



その前に、
来ているのだろうか?



不安に思い、
舞台袖からこっそりと客席を覗いた。




桜井先生は最前列にいた。



職員席だから当たり前か。
隣には何故か兄貴の姿が―…



「生徒会長席…
なるほどね」



別に、
たまたま隣だっただけ。



そう自分に言い聞かせていた。







しばらくすると幕が上がり、
演劇が始まった。





ピーターパンがティンカーベルに、
妖精の粉をウェンディ達にかけるようにするシーン…





もし…
ピーターパンが桜井先生で



ウェンディが僕以外の男で―…



二人が一緒にいるキッカケをティンカーベルが作るんだとしたら…



それはとても…
辛い事だよね…




もしいつか、
そんな状態になったとしたら



僕は素直に
できるだろうか…

舞台は終わり、
客席を見た。


もちろん、桜井先生を―…



先生はとても楽しそうに拍手をしていた。




「良かった…」



ボソリとそう呟いた。
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