春は来ないと、彼が言った。
ベッドからのそりと起き上がると、制服のままだった。
違和感の正体はこれらしい。
よく見るとスカートのプリーツが少しよれている。
…自業自得とはいえ、いらつく。
ブレザーはちゃんとハンガーに掛かっていてほっとした。
だったらちゃんと着替えれば良いのに、と放心状態だった昨日の自分に毒づく。
「(って……あんな状態じゃ無理か)」
溜息を吐いたところで、お腹がぐうう…と地鳴りのような音を上げた。