春は来ないと、彼が言った。



……話そうと思ったのにな。



昨日のことがあって、わたしはひとつの決心をしていた。

もう、春なんて待たない。


わたしは恢に告白する。


どうも睦くんとの仲を誤解してるみたいだから、早く事実を伝えよう。

…好きな人は、恢だって。


なんだか恢のことを考えると、じんじんと首筋が疼いている気がする。


気を紛らわせようとしてか、無意識のうちにリボンばかり弄っていた。


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