春は来ないと、彼が言った。
…結局あれから、どんなにタイミングを見計らっても恢と接触することはできなかった。
人を避けるスペシャリストなんじゃないかと思うくらい、避けられ続けて。
メールは返ってこないし電話は拒否されてるし。
なんかもう……傷付きすぎて回復できそうにないよ…。
気が付けばもう放課後で、まだ高く昇っている太陽の光が教室に射し込んでいた。
睦くんに言われた通りに待ってなきゃ。
特に用事もないし、遅くなっても大丈夫。
椅子に深く腰をかけて足を無造作に投げ出し、頭を垂れて俯いた。
ふと頭を過ぎるのは、一昨日の帰り道。