春は来ないと、彼が言った。


抵抗する暇もなく、両手を塞がれた。


指と指が絡む。


慌てて引っ込めようとしても、既に籠の中に囚われていた。

びくともしない。



「やっ…!」



脳内で弾ける閃光。

そして、フラッシュバック。


瞼に鮮明に焼き付いた恢の姿が、そこにはあった。

昨日と同じ。


動けないように囚われて、捕われて―――







ナ ニ ヲ ス ル ノ ?







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