春は来ないと、彼が言った。
「ご、ごめん、恢!」
「ははっ。なに今さらかしこまってんだよ」
コンビニを後にし、先のように2人並んで歩き出した。
爽やかな笑い声を乾いた空に向かって飛ばし、恢は優しい表情のまま目元を緩めた。
恢が人の気も知らないで、脳みそがとろけてしまいそうなくらい甘い笑みを浮かべるから、わたしはきゅっと唇を噛んでにやけそうになるのを必死に抑えた。
き、気持ち悪いなんて思われたら死んじゃう…!
わたしの思いが神様に届いたのか、恢はわたしから目を逸らしビニール袋を漁り始めた。
ちょうど帰り道には行き着けの公園があったけど、あまりの寒さに2人して首を横に振ったため帰路を急ぐことにした。