春は来ないと、彼が言った。


「り…睦くんが片付けてくれたのっ!?いつ!?け、今朝!?」

「ははっ、すっごい食い付き。昨日の帰りだよ。イライラした恢が1人で歩いてくのが見えてさ、椛ちゃんはどうしたのかと思って教室に行ったらぐちゃぐちゃでびっくりしたよ」



睦くんは顎に手を添えながら、記憶を辿るように言った。


…恢、イライラしてたんだ。

聞きたかった話は違うのに、わたしの心を一番占めていたのは恢のことだった。


あー……つらい、なぁ。

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