春は来ないと、彼が言った。


塩を塗りたくられるより、ずっと痛い。

まるで、ぐじゅぐじゅと抉られているようで。



「……泣か…ない、よぉっ…」



あくまでもわたしから話し出すように仕向けるなんてずるい。

決して無理強いはしないところがずるい。

ずるい。

ずるい。


でも、それに縋ってるわたしが確かにいる。

優しい睦くんを利用してるんだよね。

そんなわたしが一番ずるい。



ずるくて、みにくい。



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