春は来ないと、彼が言った。


そういう言い方したら妃ちゃんに嫉妬されちゃうよ。


むうっと唇を尖らせると、睦くんの掌がぐしゃりとわたしの頭を撫でた。

まるで子供をあやすように、そっと。



「り、睦くん!わたし子供じゃないよっ」

「えー?そうかな、オレにとっては同じくらい可愛いよ」

「っ!!な、軟派!睦くんチャラい!!」

「あははっ。ほんとに可愛いね、椛ちゃん」

「もうっ!だからね、わた…」



じぃぃぃ…っ。


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