春は来ないと、彼が言った。


「っ…わかってるもん…!」



痛いほど、わかってる。

それが良いわけないって。

無かったことにできるわけないって。


そう、したくないって。


だって、わたし、恢を好きになって良かったよ。

もうこれ以上好きになれる人はいないって、言い切れるよ。


恢が好きだった。

この感情は、どんなに迷惑でも、捨てたくない。





だから、代わりに―――










ビリッ…!!


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