春は来ないと、彼が言った。


いつまでもそこに残り続けて消えない。

どんなに小さく千切っても、形を変えてそこに在る。


苦しい、

苦しい、

哀しい。



「………はやく、きえてよ」



嗚呼、愛おしい。



「…もう…やめるからっ…」



恢を追いかけるのは、今日で最後にしよう。


だってこれ以上、恢に嫌われたくない。

こんなに行動で示されてるのに、もし、直接言葉にされたら。

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