春は来ないと、彼が言った。


寧ろわたしはそれを望んでいたはずなのに。

なのに今は、それが訪れてしまうことが少し怖いなんて。


裸足のまま布団から飛び出し、ペタペタと足音を鳴らす。


床にちょこんと座ったテディベアに、まん丸い黄色のミニテーブル。

それから赤色のふわふわクッションに、オレンジ色のブックスタンド。


こうしてみると、わたしの家具は恢との思い出で溢れていた。



…当たり前だよね、ずっと一緒だったもん。
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