春は来ないと、彼が言った。
この国の気候はかなり変わっている。
次にどの季節がやってくるのかは誰にもわからないし、何日間今の季節が続くのかも同じく明確には予想できない。
今、訪れている季節がどれくらい続くのかを予想した―――季節予報なるものが数年前から発表されるようになった。
毎日ニュースで予報をチェックしているけど、その命中率は噂によると50%にも満たないそうだ。
たとえば今回の冬だって、予報では先週のうちに終わってるはずだった。
しかしその予報は外れ、新しく打ち出されたものによると雪を伴った寒さが明日まで続くらしい。
季節予報はないと困るけど、信用しすぎてはいけない。
どうにも難しい境界線の上で、わたしたちは所謂メディアリテラシーなるものを強いられている。