春は来ないと、彼が言った。
哀しい瞳
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「はーなーちゃーん」
それは、最後の授業である6時間目の授業が終わったときのこと。
にまにまと頬を緩めた睦くんに呼び止められた。
ちょうどお手洗いの帰り道、廊下にはまばらにしか生徒の姿が見えない。
「どうしたの?睦くん」
そのこらえきれてない笑み……なんだかとっても楽しそう。
不思議に思って首を傾げると、睦くんはすっとわたしの目の前に紙を差し出した。
桜の形をした、和紙のメモ。
「はーなーちゃーん」
それは、最後の授業である6時間目の授業が終わったときのこと。
にまにまと頬を緩めた睦くんに呼び止められた。
ちょうどお手洗いの帰り道、廊下にはまばらにしか生徒の姿が見えない。
「どうしたの?睦くん」
そのこらえきれてない笑み……なんだかとっても楽しそう。
不思議に思って首を傾げると、睦くんはすっとわたしの目の前に紙を差し出した。
桜の形をした、和紙のメモ。