春は来ないと、彼が言った。
案の定というべきか、奥の方でプリントは見るも無残に丸まっていた。
「(あーあ…やっちゃった…)」
「……次はなんだろうな」
「へっ?」
少し言葉が足りなかったけど、季節のことを言ってるんだとなんとなく理解した。
…次、は。
心の中に思い描くのは、淡いパステルピンクのキャンパス模様。
どの季節を暗示してるかなんて、言わなくてもわかる。
「春だといいなぁ」
何の気なしに紡いだ言葉だった。