俺様生徒の甘いくちづけ

あの日、生まれて初めて人を憎いと心から思った。


その相手が1番好きだった人だなんて──・・・


部屋から出て行くまで、たっちゃんは…何度も




『俺が好きなのは…美桜だから』




と、涙目のあたしを見て言い続けた。


わけがわかんない。


あたしのことが好きなのに、どうして他の女の人の子供ができるの?


たっちゃんと一緒にいた2年間が全部、嘘みたいに思えた。


ううん、嘘だった方が傷つかなくてよかったのかも。




『ぅ…っ…っぅ…たっちゃん』




一人になった部屋の中、何度も何度も声にならない声を漏らして一晩中泣いた。

< 11 / 104 >

この作品をシェア

pagetop