俺様生徒の甘いくちづけ
あの日、生まれて初めて人を憎いと心から思った。
その相手が1番好きだった人だなんて──・・・
部屋から出て行くまで、たっちゃんは…何度も
『俺が好きなのは…美桜だから』
と、涙目のあたしを見て言い続けた。
わけがわかんない。
あたしのことが好きなのに、どうして他の女の人の子供ができるの?
たっちゃんと一緒にいた2年間が全部、嘘みたいに思えた。
ううん、嘘だった方が傷つかなくてよかったのかも。
『ぅ…っ…っぅ…たっちゃん』
一人になった部屋の中、何度も何度も声にならない声を漏らして一晩中泣いた。