俺様生徒の甘いくちづけ
そんなことを思ってると、いきなり目の前に大きな手が近づいてきて──・・・
「いたっ!」
おでこを指で弾かれていた。
「さっきから、オレのこと見すぎだって!やっぱ、美桜はオレに気があんだろ?」
「バ、ババ…バカなこと、言わないでよっ!!」
「まっ、美桜はさ…近いうちにオレのこと絶対に好きになるよ。それも、そんなに時間かからないうちにあっと言う間にさー」
「どこから、そんな自信が生まれるわけ?もう、冗談言うのやめてっ!」
「冗談でなんか言うか!オレは自分が思ったことは絶対にそうさせんだよっ!」
強い眼差しとどこまでも自信に満ちたセリフ。
お願いだから、たっちゃんと同じ声で…そんなこと言わないでよ。
たっちゃんと同じ瞳で…真っ直ぐあたしのこと見つめないでよ。
「あっ、そうだ。まだオレの名前、言ってなかったよな。オレ、五十嵐悠真(いがらし ゆうま)。必ず美桜をオレのモンにするから」
「はっ!?」
「あっ、もうこんな時間かよ。だりぃけど、次は体育だし行くか」
それだけ言うと…大きく腕を上に伸ばしながら廊下を歩いて行く。
“オレのモンにする”って、なにそれ!?
「ちょっと待ってよ!」
「オレと別れ惜しいと思うけど、またな」
「別れ惜しいなって思わないしっ!早くどっかに行っちゃえ!」
「ハハッ。素直じゃねーの」
なによっ!ひらひらと手なんか振っちゃって。