俺様生徒の甘いくちづけ
「いつでもオレがお前の相手してやるよ。だから合コンになんか絶対に行くなよ!わかったか?」
そう言って屈託なく笑い、あたしのちいさな鼻をつまむ彼。
「いっ、痛いじゃないっ!生徒に命令される筋合いないから!」
「ハハッ…笑える。低い鼻を高くしてやってんだから、むしろオレに感謝してほしいね」
「それより早くケータイ返してってば!」
───ドスンッ!
やっと鼻がラクになったと思ったら、いきなり大きな音がしてイスが上下に揺れた。
「ちょっと!なんであたしの隣に座るの!」
ニヤッと口角を上げて、今度はなにかを企んでいるような笑みを見せ、あたしの隣に座る五十嵐くん。
「オレが座りたいから座ったんだよ。どこに座ったって自由だろ。そうだ!いつでも連絡取れるようにオレの連絡先、受信しといてやろうか」
「いらないからっ!」
「あーヤダヤダ。素直じゃねぇな~美桜ちゃんは」
今度は美桜ちゃん!?
こっちの話なんて、まるで無視。
あの宣告以来、五十嵐くんはなにかとあたしの周りに現われて、こんなふうに絡んでくるようになっていた。