俺様生徒の甘いくちづけ
「1人になりたいなんて思ってもねえくせに」
「──え」
「オレには美桜は誰かに側にいて欲しいって言ってるように見えるけどな」
「決めつけないでよ!本当にそう思ってるもん」
五十嵐くんの目を見て、あたしははっきりとそう言った。
だけど、彼の大きな瞳に映ってるあたしはどこか自信なさそげで──・・・
だからなのか『違う』って言えばいいのに言葉が出てこない。
「なあ…1人になんて慣れんなよ」
急にそんなことを口にした五十嵐くんは、いつもの彼の目に見えなかった。この時はたっちゃんにも全然似てなくて…全然知らない人みたいな瞳をしていて……。
「オレが美桜の側にいてやるから」
真剣さが伝わってくるような瞳にあたしは言葉を失い、息をするのも忘れ動けなくなる。
「…………」
その瞬間、あたしは広い胸の中に優しく引き込まれていた。