俺様生徒の甘いくちづけ
なっ、な…なんで、あたし抱き締めらてるの?
わけがわかんなくてパニックになってるうちに、背中に回された手に力が入ったのがわかった。
頬に触れている硬い胸は自分とは明らかにちがうモノで、改めて五十嵐くんが男の子だってことを意識する。
「冗談やめてよ。離してっ!」
そう言うと、抱きしめる腕にもっと力が込められた。
やめてよ。こんなふうに誰かに抱き締められるのは2年振り。
人のぬくもりを久々に感じた。
ふわっと優しく包まれた腕の中は温かくて心地よくて…あたしの調子を狂わせる。
「お願いだから離してったら!」
「もうちょっとだけ……」
あたしの耳元にかかる五十嵐くんのあつい息とその言葉に胸の鼓動がドクドクと速くなっていく。
「オレは美桜の側を絶対に離れない……」
「えっ」
その言葉同様の振りほどけない力強い腕が、あたしをもっと困惑させていく──・・・
「……オレ、本気だから」