俺様生徒の甘いくちづけ
「ニヤニヤ笑いやがって!熱あるくせして美桜 元気だし。オレ、そろそろ帰るわ」
ベッド脇に置いてあるデジタル時計は【10:16】を示している。
もう、そんな時間なんだ。
「……そっか。そうだよね。遅くまでゴメン」
なんだろ…。
今、あたし、急に寂しいとか思わなかった?
そんなの、ないないっ!!
けど…やっぱり胸の中にぽっかり穴があいたような…そんな気分で。
じっと、五十嵐くんの目を見つめていた。
「あっ!美桜…お前、もしかして……」
「なっ、なによっ!!」
その視線に気づいた五十嵐くんが唇の端をニヤッと持ち上げ、何かを納得したかのように自分のあごに親指をあてる。
「ふーん。そう言うことか」
「なに言ってるの」
「オレ、べつにいいけど」
「はっ!?」
「今夜ここに泊まってやってもいいって言ってんだよ。美桜がリクエストするなら、一緒に寝てやってもいいけど。どうする?」
そうと言って、あたしの布団をめくろうとする。
「バカッ!そんなわけないでしょ!遅いんだから早く帰りなさいっ!」