俺様生徒の甘いくちづけ
ただ今、思考停止中──・・
って、なんであたしが痩せすぎとか そんなことがわかるわけ!?
「美桜、軽過ぎて抱きあげた時、マジでビビッたし!食べねぇから、風邪引くんだぞっ!オレ、華奢なの嫌いじゃないけど、もっと肉ついてんのも好みなんだよね。オレ好みになりたいだろ?」
「なりたくないしっ!!」
五十嵐くんに玄関先からベッドまで運ばれたってことを、この時…やっと自覚したあたし。
「それに五十嵐くんに好かれなくて結構だし!」
抱きかかえられた場面を想像したら恥ずかしくてたまんなかった。
あーもう、あたしのバカバカ!!
「ハハッ。なに言ってるか全然聞こえねー」
自分の耳に手を当てて、五十嵐くんが笑う。
「聞こえてるくせにっ!」
「元気あんじゃん。じゃ今度こそマジで帰るわ。ゆっくり休めよ」
でも、部屋を出る時に見せた…ふわっと笑った顔と言葉は、いつもの俺様な態度に全然似合わないくらい…柔らかくて優しかった。
───バタンッ…
その直後、玄関のドアが静かに閉められる音が聞こえてきた。