俺様生徒の甘いくちづけ
「あたしが落ちるわけないでしょ」
断る言葉がすぐに出てこなかった。
「いーや、美桜は絶対にオレに落ちて、オレにハマることになる」
「そんなの、絶対にないから!」
「だったら、1週間逃げないで…それ証明してみせろよ」
「…………」
「あれ、黙っちゃってどうした?やっぱり美桜は自信がねえから証明できなんだ?」
「で、できるわよっ!」
「ククッ…じゃ、決まりっつーことで」
お互いの“絶対”をかけた…1週間のお試し期間。
この間、あたしは五十嵐くんのことを生徒じゃなくて…1人の男の人として意識する。
「じゃあ、交渉成立のハグでもすっか…」
ニヤッと綺麗な瞳で見つめられた時、あたしはもう五十嵐くんの大きな広い胸の中にいた。
「えっ、ちょっと!」
こんな約束を簡単にOKしちゃったのは飲み過ぎていたせい?
それとも、あの人に似ている…綺麗で危ういこの瞳のせい?
どんな理由にしろ…今、自分がいる大きな胸の中はとっても温かくて…あたしは拒むことを忘れて、いつの間にか目を閉じてしまっていた。