俺様生徒の甘いくちづけ
音楽室の前に着き、そこで大きく深呼吸をした。
「はー…」
……って、あたし、べつに緊張なんかしてないし。
そして、ゆっくりと音楽室のドアを開いた。
「あっ、来てたんだ?」
「……ああ」
それだけ返事をして、すぐに手に持ってるケータイに視線を移す五十嵐くんがいた。
なにかのゲームでもしてるのかな?
あたしは、いつも自分が座っている窓際の特等席に座った。
静かな教室の中で、時々…五十嵐くんのケータイからゲームの音が聞こえてくる。
五十嵐くんはゲームに夢中なのか、なにも話しかけてこない。
「ねぇ……?」
だから、代わりにあたしが話しかけた。
「………ん」
こっちの調子が狂っちゃうような…いつもと全然違う彼の態度。
なんなの…これ。
「さっきからこっちばっかり見て…美桜、なに構って欲しそうな顔してんの?」