俺様生徒の甘いくちづけ
五十嵐くんがニヤッと笑い、手に持っていたケータイを机に置いて立ち上がると、あたしが座っている窓際の席まで歩いて来た。
そして、机に手をつき、上の位置からあたしの顔を見はじめる。
な、な…なに?
「どうしたの?」
「オレになんかして欲しいのかと思ってさー」
「はっ!?“して”…とかヘンなこと言わないでよっ!そんなこと、思うわけないし」
「ふーん。オレはてっきり美桜がオレになんか期待してんのかと思ったんだけど…気のせいか」
「気のせいに決まってるでしょ!」
「ホントかよ?」
そう言うと、いきなり五十嵐くんの顔が目の前まで急接近していた。
あと少しでキスされそうな距離で。
「ちょ…ちょっと近いんだけど」
「そりゃ、近づけてっから」
五十嵐くんの息がふっとあたしの頬にかかり、ガムの甘い香りがする。