俺様生徒の甘いくちづけ

「ふざけないでっ!」


「ふざけてなかったらいいんだ?」


整ったきれいな顔がゆっくりとこっちに近づいてきて、あたしとの距離をどんどん縮めてくる。もしかしてキスするつもり!?



「えっ、ヤダ…ホントに近いって」



あたしはそれを避けるように五十嵐くんの肩を強く押した。でも、全然力が敵わない。




あーもうダメ。絶対にキスされる。




と思った瞬間。あれ…?なんで?



唇も頬も…なにも感じない。



「美桜の顔も見たことだし、教室に戻るわ」


「……え」



知らないうちに閉じていた瞼を開けると、五十嵐くんはいつの間にかあたしから離れていた。



「まだ休み時間20分あるのに…」


「だから、なんだよ?もしかして、オレともっと一緒いたい?」


「そ、そんなわけないから!」


「じゃ、急に目閉じて、オレにキスして欲しかったんだ?」


「して欲しくなんかないしっ!早く教室に戻れば」


「ククッ。言われなくても行くし。じゃ、またな」


< 89 / 104 >

この作品をシェア

pagetop