俺様生徒の甘いくちづけ
「ふざけないでっ!」
「ふざけてなかったらいいんだ?」
整ったきれいな顔がゆっくりとこっちに近づいてきて、あたしとの距離をどんどん縮めてくる。もしかしてキスするつもり!?
「えっ、ヤダ…ホントに近いって」
あたしはそれを避けるように五十嵐くんの肩を強く押した。でも、全然力が敵わない。
あーもうダメ。絶対にキスされる。
と思った瞬間。あれ…?なんで?
唇も頬も…なにも感じない。
「美桜の顔も見たことだし、教室に戻るわ」
「……え」
知らないうちに閉じていた瞼を開けると、五十嵐くんはいつの間にかあたしから離れていた。
「まだ休み時間20分あるのに…」
「だから、なんだよ?もしかして、オレともっと一緒いたい?」
「そ、そんなわけないから!」
「じゃ、急に目閉じて、オレにキスして欲しかったんだ?」
「して欲しくなんかないしっ!早く教室に戻れば」
「ククッ。言われなくても行くし。じゃ、またな」