俺様生徒の甘いくちづけ
そう言い残し…五十嵐くんはくやしいくらいカッコいい笑顔を見せて、音楽室から出て行った。
1人になったあたしの顔は自分でも自覚するくらい熱くて、きっと…今、恥ずかしいくらい赤い。
また意味がわかんないし。
あたし、五十嵐くんにやっぱり振りまわされちゃってる。
その後も五十嵐くんの態度は同じだった。
あたしの側にいるんだけど、ちょっと前までとはちがって、あたしに触れてきたり…キスしてこなかった。
ただ、あたしの近くにいるだけで、完全に爆睡してる時だってある。
あたしはそんな関係が心地よくて…イヤじゃなくて。あたしはいつの間にか、毎日…バスや音楽室でカレが来るのを待つようになっていたんだ。
それに…時々、五十嵐くんが切なそうにあたしを見つめる瞳にドキッとしてたなんて。
1週間すれば、五十嵐くんに会うまでの平穏な毎日に戻れる。
ちょっとだけ我慢するだけ。
そう思ってたはずなのに……。
そしてあっと言う間に時間は流れていって、交渉成立の日まで…後2日になっていた。