俺様生徒の甘いくちづけ
驚きながらも玄関まで歩いて行き、ゆっくりとドアを開くと
「……どうして?」
私服姿の五十嵐くんが勝手に部屋の中に入って来て
「美桜」
そう名前を呼び、あたしを自分の胸の中に閉じ込めた。
追い返さなきゃいけないのに、突然のことに頭が働かない。
その間にも…どうしてかわからないけど、目尻から涙の雫がポタポタと流れて──・・・
「なんで、美桜は泣いてんの?」
「グスッ…泣いてない」
「どう見たって泣いてるし。つーか、どんだけ意地っぱりなんだよ!」
「あたしのことはほっといて!それより…そっちこそ…今日どうして学校来なかったのよ?」
「……オレのこと探したんだ?」
「……そうよ」
バカみたいに素直に頷くと
「やっぱりオレにハマった」と、大きな口を五十嵐くんが開けて笑う。
なんか…すごくくやしい。
ずっと今日1日、この笑顔が見たかったって思ってた自分がいた。
「なぁ…今日で約束の1週間だな?」