シュガー × シュガー
西野先生は運転席に座ると
ゆっくりバスを走らせる。
今日一日、目まぐるしく過ぎた時間。
疲れた体をシートに預ける。
やっと解放されたという安心感と
イケメン西野先生という圧迫感が
あたしに襲い掛かった。
とりあえず、帰りは寝ないようにしよう!
「あ、ねぇねぇ玲美!例の紙は?」
「あっ!忘れてた…どこだろ?……あった、これだ」
あたしはファイルの中から
折り畳まれた小さい紙を出した。
「おー!ラブレターだ。中身見てないの?」
「うん、なんか怖くて」
「じゃああたし先に見ていい?」
伊織が食らいつくように
身を乗り出した。
「どうぞどうぞ」
あたしは伊織にすすめた。
少し緊張が走った。
なんだろ、なんだろ。
伊織の紙を開く手と
文字を追う目をみた。
軽く唇を噛む。
中川はそこに
なにを書いたのかな?