シュガー × シュガー
お母さん?
やけに返事早いなあ。
お湯を注いで
パスタのお皿とマグカップ、
冷蔵庫にあったコンビニのサラダをテーブルに運んで
携帯を手にとった。
ボタンを連打して
受信ボックスを開くと…
─Title、中川…?
『伊織ちゃんから聞いた。
玲美ちゃん、彼氏いないんだってね』
中川ってあの中川?
中川からアドレスをもらったけど
登録していないあたしの携帯には
当然アドレスが直接表示される。
それに伊織ちゃんから聞いたって…
伊織ほんとにあいつとメールしたんだ。
とにかく関係ない。
あたしは返事せずに
夕ごはんを食べはじめた。
しばらくしてまた震える携帯。
まさかと思って開くと、
差出人には同じメアド…。
中川…。
『明日教習あるでしょ?玲美ちゃんと同じの取ったから』
は?
なに言ってんの。
あたしは見なかったことにして
再びパスタを口に運んだ。
三回目、また携帯が震え
同じ中川のアドレス…。
『あれ、無視?まあいいや。明日また会えるしね』
席がなくて、あいつの横に座らせてもらったとき、
あたしはあいつがこんなやつだとは思わなかった。
むしろ、女うぜえ!みたいなタイプだと思っていた。
実際中川は顔立ちも整っていて…
言い寄られてるのも何回か見た。
そして、来ると思っていた四回目。
サラダのプチトマトを口の中で潰した瞬間、バイブが鳴った。
今度はなに?
どんな内容にもシカトすればいい。
けど、次のメールを開いたとき
あたしは固まった。