シュガー × シュガー
自分でも少し声が大きかったと気づき、恥ずかしくなった。
西野先生だけじゃなく、
周りの人もこっちを見た。
顔が赤くなるのがわかる。
「平岡さん!?」
先生が先に会計を終え、
おつりを受け取りあたしの列に来た。
教習所帰りなのか、まだスーツ姿の先生。
こんな近くで、しかも教習所以外の場所で会えたことにドキドキが止まらない。
「一人?」
先生が聞く。
「一人、です」
もじもじしながら答える。
よりによって部屋着!
一応コート着てるけど、完璧部屋着!
先生に、西野先生に会うなんて!
言ってくれればもっとオシャレしてきたのに!
しかもあたし今…すっぴんだよ!
極めつけはすっぴんって…切ない。
「ご一緒ですか?」
上から降り懸かる店員の声。
はっとして気がつくと
レジはもうあたしの番だった。
ご一緒?なにが?
「はい、一緒で」
答えたのは…先生。
あたしのアイスとチョコと…先生のタバコ。
全部まとめて払ってくれた。
うそー!
そんなっ…これ、食べれないよ。
言葉にならなくて
どぎまぎしながら先生とコンビニを出た。
ありがとうございましたー
という店員の声が
背中を追い掛けた。