シュガー × シュガー




一歩外に出ると
冬の夜の冷たい風が
ほっぺも耳も指先も
一気に冷やした。



「にしても、こんな寒いときによくアイス食えんね(笑)」


入り口を出て立ち止まって
先生は笑った。


あたしに笑ってくれる。
あたしにおごってくれた。

今はあたしだけの"先生"。



プライベートってのが嬉しい。

あたしはこっそり手の甲をつねった。


痛い…夢じゃないよ…。


あっ、お礼しなきゃ。

「あのっ、お会計…出してもらっちゃって…あたしぼーっとしてて……」


…うん。見事言葉にならない。


「いいんだよ♪特別サービスっ」


と、特別…。



「ありがとうございます」


「いえいえ。ところで家、近いの?歩いて来たの?お家の方は?」


うわわわわ。一気に質問。
頭がクラクラしてきた。


「えっと、家は…歩いて10分くらいで、歩いて来て…10分くらいで……えっと…親は出かけててまだ帰って来てなくて、…10分で歩いて…アイスのCM…あのっ……」


「ははっ、了解(笑)」


笑われた。

だめだあたし。
完璧馬鹿な子だよ…。


「てか鼻真っ赤だよ?しかも来る前にお風呂入ったでしょ!まだ髪濡れてるし…ほら、乗った乗った!!」


え?




先生があたしの腕を引っ張って歩く。

誘導されて着いたのは


「先生の車?」


「そうだよっ!乗りな。送るから」



なんと停まっていたのは
シルビアだった。


しかもS15…。




あたしがずっと、憧れていた車。


これは…助手席に乗っていいの!?


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