シュガー × シュガー





「先生!イチゴに乗ってたんだ!」

興奮してなかなか乗らないあたし。
先生は助手席側に回ってきて
あたしの荷物を取ってドアを開けた。


「おっ、イチゴわかるんだ♪」

あたしに乗ってと促す。

「あたし、車乗るならイチゴがよかったんです!しかも白…うわぁー…すごい」


内装もかっこよかった。

ダッシュボードには
メーターが乗っかっていて。
あたしが思い描いていた車だった。



「なるほどね、それでMTか!全部繋がった♪それと…コレもね」


ニヤッといたずらに笑いながら
先生はあたしがさっき買った車雑誌を手渡した。


…あっ、忘れてた。

こんな女らしくない趣味
絶対引かれるよ。


それから、付け足すように
アイスとチョコの袋も。



「もうちょっと停めとくから、食べなよアイス」


先生はコーヒーを開けた。


「あっ、はい」




会話もなくなり、
静まり返った車内。


やっぱり、変だって思われた?



こんなとこで
会わなきゃよかった…。






「西野、先生」

あたしから思い切って話す。

聞いておきたい。



「ん?なに」

先生はいつもの笑顔。

なんか不思議な感じ。


教習ではあたしが運転席で先生が助手席。

覗くのも、左からだから。


角度が変わっただけで
こんなに違う人に見えるのかな。



薄暗い車内で
先生の輪郭ははっきりしていた。


心臓の音、聞こえてないかな?





先生、あたしのこと
変なやつって思ってる…?





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