恋する魔女
【SIDE:ブライアン】


それから3週間がたった。



ジュリアと離れてから、ブライアンは以前のような仕事人間に戻っていた。



いや、もしかしたらそれ以上かもしれない。



何かをしていないと、どうしてもジュリアのことを考えてしまい、いてもたってもいられなくなるのだ。




ダニエルとは、あの酒を飲んだ日以来、ジュリアの話はしていない。



ジュリアの名前を出せば、ブライアンが仕事にならないのは目に見えているからだ。



4週間という月日は、ブライアンを次第に、冷酷で無気力な男に変えていった。



“ジュリア欠乏症”


などとうの昔に通り越してしまい会えないことでストレスと苛々が募る一方なのだ。



そんな彼の前で下手にジュリアの名前を出せば、どうなるかなんて言わなくても察しがつくだろう。



会社から引っ張りだされてセーヌ川に沈められてしまうのがおちだ。




そんなブライアンの様子に職場の同僚も気づかい、あまり話し掛けては来ない。



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