恋する魔女
【SIDE:ブライアン】



その日のブライアンはいつになく上機嫌だった。


事情を知っているダニエルでも呆れるほどに。




「お前、顔が緩みすぎだ。」



昼休み、ダニエルはブライアンを誘い、近くのレストランで昼食をとっている。



「緩んでいる自覚はないが・・・。」


「じゃぁ、言い方を変える。そのニヤニヤをどうにかしろ!!」



そういうと、ブライアンは笑いながら、頭をかいた。


「悪い。今夜のことを考えたらどうしても・・・・」


「今夜?帰ってくるのは明日じゃないのか?」


「あぁ。帰ってくるのは明日だ。でも時間は日付が変わってすぐだよ。」


「どうしてそんなことがわかるんだ?連絡はとっていないんだろう?」



ダニエルが不思議そうに尋ねるとブライアンは当たり前のように答えた。



「僕と彼女は一心同体だ。彼女の行動なんてすぐにわかるさ。今夜の0時が過ぎたら1分もしないうちに帰ってくるだろうね。」



“帰ってこなかったら思う存分お仕置きするよ”



フッと笑うブライアンを見て、ダニエルは口笛を吹いた。



「お前が昼間から公の場で、愛の行為を仄かすような話をするとは・・・とうとう狂ったな。」



ダニエルはやれやれと肩をすくめた。




< 114 / 217 >

この作品をシェア

pagetop