恋する魔女
「あ〜・・・ダルい。」



店に来てからものの1分で、裏の顔になってしまったブライアン。



重役達は鼻の下を伸ばしながら、上機嫌で自分の隣に座るお気に入りの女と話している。



ニヤニヤした顔つきで気持ちが悪い。



そう思うと、昼間にダニエルが言っていたことを思い出す。



まさか俺もこの野郎共と同じ顔を?


いやまさか。


俺はジュリアに対してこんな下品な顔はしない。



と言いつつも、少しだけ不安に思うのだった。




だが、今ブライアンの頭を占めているのは、隣に座る女をどうあしらうかだった。



「ブライアンさん?何かお飲みになりますか?」



大胆に開いた胸元とスリットが深く入っているロングドレスを着ているこのホステス。



「いや、僕は酒に弱いんで。」


「あら、そうなんですか。お仕事とは言え、大変なんですね。」




畜生、目のやり場に困る。



自分にはジュリアがいる。

彼女以外には欲情なんかしない。


そう確信していた。



だがどうだろう。


今隣に座っているのは



「私、ジュリエットって言うの。ジュリアって呼んでね。」



名前だけでなく、容姿までもジュリアにそっくりな女だった。





【SIDE:ブライアン(終)】




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