恋する魔女
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ということである。



もうこれだけ居たわけだし、こんな状態だ。



帰っても失礼にはならないだろう。



「皆さん、お楽しみのところ大変申し訳ありませんが、僕もこんな状態なのでお先に失礼させていただきます。」



と恐縮そうにするブライアンに重役達は“あぁ。気にするな”と言った。



あぁ、やっと帰れる。



スーツを汚されたことには心底嫌気がさしたが、ようやく解放されると思うと、ありがたいと思うのだった。



ジュリエットは悔しそうに顔をしかめていた。



「それじゃぁ、失礼します。」



ブライアンは急いで席を立ち上がり、玄関に向かった。



ようやく家に帰れるという解放感で足取りは軽い。



だが、そんなブライアンを解放しない者がいた。



「ブライアンさん!」



今度は何だよ。



「なに?」


「スーツごめんなさい!あの、送ります。こんなことしてしまいましたし。」



はっきり言って迷惑だ。


ようやくこんな姿を見なくて済むと思ったのに、帰りも一緒だなんて勘弁してくれ。





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