恋する魔女
あれから数十分──────・・・



「ブライアン、決めたわ!」


「どれにしたんだい?」



“はい”と手渡された2つのマグカップ。



両方とも、縦に二葉が描かれていて、その下には文字が書かれている。



だが、どちらとも端によりすぎていて、切れている。


片方は右寄り。

もう片方は左寄り。




「これは、どういうこと?」


ブライアンが首を傾げると、ジュリアはクスッと笑ってマグカップを取り上げた。



「見ててよ。」


「ん?」



ジュリアは両手に持つマグカップをくっつけた。



すると、一つの模様と言葉が出来上がった。




「四つ葉のクローバーと、『heureux』(幸せ)・・・」


「そう。とっても素敵でしょ?」



“あぁ”と、マグカップをジッと見つめながら、ブライアンは呟いた。




2つが揃わないと、幸せという言葉にはならない。


何だか、あたし達みたい。


あたしにはブライアンが。
ブライアンにはあたしが。


二人が揃ってこそ得られる幸せ。


それがとても大きいんだってことが、この1ヶ月離れてよくわかったわ。


その気持ちをこれからも忘れないためにも、この2つのマグカップがあたし達には似合ってると思ったの。





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